オープン戦4割で開幕スタメン、「勘違いした」巨人ドラ3が「野性」取り戻す…きっかけは担当スカウトの言葉
4月28日のDeNA戦でプロ初の猛打賞をマークした佐々木
■[THE GIANTS 2024]
ルーキーに躍動感が戻ってきた。4月28日のDeNA戦で、ドラフト3位の佐々木俊輔(24)(日立製作所)が初の猛打賞をマークした。「自分はレギュラーではない。結果を出し続けないといけない」。がむしゃらに、右へ左へ放った3安打だった。
オープン戦で打率4割と打ちまくり、1番中堅で2001年の阿部慎之助以来となる新人開幕スタメン出場を飾った。プロ初安打も記録したが、好結果は続かず。開幕前は打てていたコースの球にも手が出なくなっていった。「自分がやらないといけないと、少し勘違いをしていた。深く考えすぎた部分があった」と明かす。
4月上旬、実松コーチにかけられた言葉が、初心に立ち返るきっかけになった。「お前の良さは、野性的にいくところだぞ」
今季から一軍バッテリーコーチを務める実松コーチは、昨季はスカウトで佐々木の担当だった。昨年4月、茨城県のひたちなか市民球場で行われた試合が特に印象に残っているという。
その試合、左手の手術明けだった佐々木が久々に先発出場した。実松コーチは「復帰戦、第1打席の初球からスイングし、飛んでいった打球が素晴らしかった」と振り返る。いきなり見せた左中間を抜く二塁打に、「野性的」と表現する思い切りの良さが詰まっていた。
故障で離脱した経験はほとんどなく、不安を抱えながら打席に立った佐々木も「めっちゃうれしかった」。プロにつながったと思える、忘れられない一打だ。
4月23日。プロとして戻ったひたちなか市民球場での中日戦で出番はなく、「実力不足」と悔しがった。それでも、自分らしさを見つめ直した今はこう思える。「考えすぎても答えは見つからない。それだったら、思い切ってやろう」。初の3安打を記録したのは、5日後のことだった。(井上雄太)