ウクライナ軍、激戦地アブデーフカ郊外から撤退 陥落危機強まる 露軍優勢を示唆
ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナ軍南部方面部隊のタルナフスキー司令官は16日、防衛戦を続ける東部ドネツク州の激戦地アブデーフカ郊外の一部陣地から、部隊を撤退させたと交流サイト(SNS)で明らかにした。同市陥落の危機が強まった形。ウクライナ軍の弾薬不足などが進む中、露軍が東部で優勢を築きつつあることが改めて示された。
タルナフスキー氏は部隊撤退の理由を「人的損耗を避け、作戦状況を改善するためだ」と説明。陣地の放棄は露軍に戦術的優位を与えるわけではないとも指摘した。
アブデーフカはロシアの実効支配下にある州都ドネツク市近郊に位置するウクライナ軍の重要拠点で、過去数カ月間にわたり激戦が続いてきた。ただ、最近は兵力や火力で勝る露軍が市内の一部を制圧したと伝えられるなど、露軍が優勢とされる。ウクライナ軍は増援部隊を派遣し、陥落を阻止したい構えだ。
カービー米大統領補佐官も15日、アブデーフカが「陥落の危機にある」とし、共和党が多数派を占める下院にウクライナ支援案を含むバイデン政権の緊急予算案を承認するよう改めて求めた。
露軍はアブデーフカを掌握することでドネツク市の安全を高めるとともに、主目標とするドネツク州全域の制圧に向けた進軍ルートを確保する思惑だとみられている。