のと鉄道の「駅ノート」に「能登がんばれ!!」、観光客と被災住民つなぐ…能登半島地震
地震後、乗客らから応援メッセージが寄せられている能登鹿島駅の「駅ノート」
能登半島地震で被災し、4月6日に全線で運行を再開した石川県の第3セクター「のと鉄道」(七尾―穴水、33・1キロ)で、穴水町にある能登鹿島駅の駅舎に置かれた「駅ノート」に被災地を応援するメッセージが寄せられている。再開後の約1か月で60件。花見や大型連休などで訪れた乗客らが記したとみられ、住民を励ましている。(金沢支局 高野珠生)
「前を向いて、良い方へ、良い方へ」「美しい自然と海がある能登、今まで以上の輝きを取り戻せると信じています」「能登がんばれ!!」。ノートには、被災地への思いが書き込まれている。氏名を記している人もいる。
ノートは、無人駅の待合室に置かれている。地元住民によると、きっかけは不明だが、少なくとも10年以上前に置かれたという。余白がなくなるたび、住民の誰かが新しいノートを補充し、駅舎には現在、2013年以降の6冊がある。
「能登さくら駅」の愛称で知られる能登鹿島駅は例年、ホームの両脇に植えられたソメイヨシノ約100本が満開となる頃、多くの人が訪れる。今年の4月中旬も、地元住民や観光客でにぎわいを見せた。大型連休中も能登を応援しようと訪れる乗客の姿がみられた。
駅は元日の地震で駅舎のひさしが崩れるなどの被害を受けたが修復された。その間、ノートは、のと鉄道の社員が保管し、全線運行再開の数日前に待合室に戻された。
10年以上、ホームの花壇の手入れをする地元の佐藤まゆみさん(72)も「読者」の一人だ。「今年は結婚して2人で来ました」「また来ます」との書き込みをほほえましく読み、住民と顔を合わせるたびに、話題にしてきた。
佐藤さんの自宅は地震で一部損壊した。能登にたくさんの思いを寄せてもらっていることを知り、元気をもらったという。「書いてくれた人の顔は見えないけれど、つながることができる大事なノート」と笑顔で話している。